僕は何処へ・・・、君は何処に・・・。
たまに…。
そう、極たまにだが。
なんというか、うん…。
簡単な言い方をすると…、そうだな。
自分が何を求め、何処へ向かっていいのかわからなくなるときがあるんだ。
頭では欲しい物はなんとなくはわかってる。
でも、「それ」はおぼろげすぎて、
具体的に「何」ということもなく、
「それ」が在る場所もここで正しいのか否か判断に苦しんでしまうのだ。
この現象が如実に現れる瞬間が、
バイトの休憩時間に「昼ごはんを買いにスーパーに行った」とき。
特に朝ごはんを食べ過ぎてあんまりお腹が減っていないときによくある。
お腹が減っていたならそれはこの場合は逆に幸せなことだ。
だが、例えお腹が減っていなくてもその時間はやってきて、
否応なしに選択を迫る。
そして、その選択を放棄したとき、
後で「後悔」と「空腹」に襲われる。
だから、限られた時間の中で何かを求め、
確実に手に…、
いや、腹に入れなければならないのだ。
今日もそうだった。
「サクサク」したものが食べたかった。
だから僕はまずスナック菓子売り場に行ったんだ。
でも、違った。
求めてた「サクサク」したものはそこにはなかった。
「コンソメ」だ「うすしお」だの、そんな次元じゃなく、
原料が「ポテト」や「コーン」のものではない、
それだけが確実な答えだった。
だが、そんな中で、
求める「サクサク」に一歩近づいたことも確かだった。
新しく追加された条件は「甘い」だ。
しかし、他の原料で甘くてサクサクなんてあるのか?
次なる場所へ進もうにも立ちすくむ僕に、
もう一人の僕がそっと囁く。
「キャラメルコーン…」
ゴクリ…、甘いサクサクだ。
でもバカっ!!
キャラメルコーンの原料は「コーン」だろ!
そんな誘惑には惑わされないぞ!
脱兎の如く菓子売り場を飛び出す。
ハァハァ、なんとか誘惑は振り切ったけど、さてどこにいくか。
モヤモヤした頭を抱えながら暫く店内を徘徊する。
そんなとき、脳裏をあいつが過ぎった。
「シュガーラスク!!」
サクサクッと程よい硬さと歯ごたえがあるのに
口に含むとホロホロと崩れ、しっとりと甘く濡れる、
まさに僕好みの食べ物界のツンデレキャラ。
食べ終わった後も「パンくず」という存在証明をふんだんに残したがる、
そんな我儘なところもまた魅力的だ。
明確な答えが見つかって、
意気揚々と一直線にパン売り場へ到着。
が、僕の勢いもそれまでだった。
「練乳」
そのあまりにも偉大な文字が目に入った瞬間、
パーンと頭の中で「甘くて」だけが残り「サクサク」が弾けて消えた。
嗚呼、溶けて行くよ…。
「練乳」に僕の「心」が溶けていく。
薬物常習者がクスリを求めるかのように、
僕は焦点の合ってない虚ろな眼で「練乳フレンチトースト」を手に取って「レジ」に向かった。
ちなみにパケの中身はPasco産だ。
もう後戻りは出来ない。
すでに休憩時間の半分以上を費やしてしまったのだから。
会計を終えて職場へ戻る僕の背中は
他の誰から見ても一番センチメンタルだろう。
結局僕が手に入れたものは「求めてたもの」とは違った。
しかし、手に入れたものを「求めていなかった」わけでもない。
極端な話、「何でもよかった」ということになってしまうのではなかろうか。
過ぎていく時間の中で常に考え行動した結果がこれだ。
人間とはなんていい加減な生き物だろう。
反吐が出るぜ。
ひとつだけ残ったもの、
それは「自分のお腹が満たされた」という揺るぎない事実。
その事実の先にどんな現実と思考があり、
次に僕にどんな行動を取らせるのか楽しみではあるが。